会報「SOPHIA」 平成21年12月号より
全国一斉電話相談
「子ども・女性・ひとり親世帯生活ホットライン」に参加して
消費者問題対策特別委員会
多重債務対策本部 委員
板倉 しのぶ

1 はじめに

平成21年11月26日に、全国一斉電話相談「子ども・女性・ひとり親世帯生活ホットライン」が実施されました。このホットラインは、日弁連の呼びかけにより、@子ども・女性・ひとり親世帯の貧困の実態を把握すること、A生活・就労・支援制度等について情報を提供すること、B生活の改善に関するアドバイスを行うことを目的として、全国43箇所で統一フリーダイヤルを用いて行われたものです。

2 当会での相談状況

 当会では、当会館3階の相談室に4本の電話を設置して、午前10時から午後4時まで、合計16名の会員が参加して相談にあたりました。  相談件数は合計28件で、件数自体はそれほど多くないようにも思えますが、1件あたりの相談時間が長く、中には1時間以上にわたって相談を受けたり、複数の会員がバトン形式で相談にあたったりしたケースもあり、絶えず電話が繋がっている状態でした。  そして、緊急を要する案件については、生活保護申請同行などの継続支援も行いました。

3 相談内容

 相談の内訳は、経済的問題に関する相談が22件(生活費7件、生活保護6件、学費・教育費3件、医療費1件、借金1件、その他4件)、家事事件に関する相談が10件(離婚4件、養育費2件、DV2件、親権1件、その他1件)、生活に関する相談が7件(住まい3件、安全2件、保険・医療2件)、仕事に関する相談が3件(解雇・雇止め1件、いじめ1件、その他1件)、子育てに関する相談が1件、不登校に関する相談が1件でした(重複あり)。
 やはり昨今の経済状況の悪化が、ひとり親世帯の生活にも暗い影を落としているようで、「今年の3月から仕事がなくなり、家賃や税金の滞納が増え続けている」「学校から厳しい督促を受けているが、給食費や授業料が払えない」「離婚調停で養育費の支払義務が認められたが、夫の職が安定せず、養育費を払ってもらえない」「妻と死別して1人で子育てや母親の介護をしているが、生活が苦しい」など、経済的な悩みや不安を訴える相談が目立ちました。
 また、「夫のDVにより、自分も子どももうつ病になり、子どもは不登校が続いている」「職場の上司からパワハラを受けている」「夫と離婚はしていないが別居している場合に受けられる援助はあるか」「父子家庭のための手当もあるか」など、今回のテーマならではの相談も多数寄せられました。 4 ホットラインに参加した感想  今回のホットラインに参加して、子どもや女性、ひとり親世帯が直面している問題は、雇用情勢・家庭内不和・健康不安など複数の事情が、相互に複雑に絡み合って深刻化しているということを痛感しました。これらの問題をひとつひとつほどいていき、終局的解決を実現するまでにはそれ相応の時間を要するものと思われます。
 しかし、電話相談によって、悩みを抱えている方々の生の声を聞き、有効な情報提供や法的アドバイスを行って、解決の糸口を示すことは、それ自体重要な意義のあることです。今後もひとり親世帯の生活は厳しい状態が続くことが予想されますので、引き続き今回のような活動に積極的に取り組んでいきたいと思います。