中部経済新聞2014年04月掲載
消費税8%に増税〜転嫁阻害是正で特別措置法〜

いよいよ消費税が8%に上がったね。

社長の事業にも影響ありますよね。

あるよ。仕入れている材料費の消費税が上がるからね。でも、うちの場合は、販売先さんが、快く増税分を負担してくれると言ってくれているから心配ないけど、知り合いの会社は、販売先から増税分は負担しないと言われて、もめてるみたいなんだ

いわゆる「消費税の転嫁」の問題ですね。お知り合いの会社のように、消費税の増税分を上乗せしようとすると、取引先がそれをいろいろな方法で拒否しようとすることが想定されます。そこで、国は、そうした消費税の転嫁を阻害する行為を是正するための特別措置法とガイドラインを制定していますので、今日は、その概要をご説明しましょう。


【転嫁拒否について】

公正取引委員会規則で定める大規模小売事業者(特定事業者)は、一定の取引先(特定供給事業者)から商品を仕入れる場合に、別表1の行為を禁止されています。違反行為については、公正取引委員会等が小売事業者に対して報告を求めたり立入り検査を行うほか、指導・助言を行ったり、消費税の適正な転嫁に応じるなどの措置を取るよう勧告し、その旨を公表することもあります。

確かに、小売店が増税分を仕入先に負担させることで価格を据え置いて稼ぐとすると、公正とは言えないね。


【表示について】

今、社長が指摘された「据え置き」に関しても、規制があります。事業者(消費税の課税事業者とは限りません)が、@取引相手(消費者)に消費税を転嫁していない旨の表示をすること、A取引相手が負担すべき消費税を対価の額から減額する旨の表示(消費税との関連性の明示が必要)をすること、B消費税に関連して取引相手に経済上の利益を提供する旨の表示(内閣府令で定めるもの)は禁止されています。
具体的に教えてもらえないかい。

はい。@は、例えば、「消費税は頂きません」、「消費税はサービス」、「消費税は当店負担」といった表示です。Aは、「消費税増税分還元セール」、「消費税率の値上げ分をレジにて値引きします」といった表示があたります。Bは、「消費税相当分について次回購入に利用できるポイントを付与します」、「消費税増税分をキャッシュバックします」といった表示があげられます。

どこかで目にしたことがあるようなフレーズだなあ。

こうした表示に関する違反行為についても、指導・助言や、勧告・公表が予定されています。


【価格表示について】

次に、税率の変更にあたって、消費者が値札の金額を誤認しないように明確な表示をすることも求められています。具体的には、事業者はできる限り速やかに税込み価格を表示するように努めなければなりませんが、それができない事業者は、「旧税率(5%)で税込み価格を表示していますので、レジで新税率(8%)にて清算します」といった表示をしなければなりません。


【次の引き上げにも】

そういえば、消費税はまた上がるんだよね。

平成27年10月にも消費税率の引き上げが予定されています。ご説明してきた特別措置法は、この引き上げにも適用されることになっていますが、平成29年3月31日をもって失効することが予定されています。
詳しくは、公正取引委員会等関係各所のホームページをご覧下さい。