中部経済新聞2013年6月掲載 
自社従業員が逮捕
当番弁護士請求を

【質問】弊社の従業員Aが傷害の疑いで逮捕されてしまいました。これからどうなるのでしょう?

【回答】
(1)それは大変ですね。今回はまず、逮捕後の手続きの流れについて見てみましょう。

(2)逮捕されると、事件が明白軽微である場合を除き、48時間以内に警察から検察官に送られます。次に、検察官は、24時間以内に、勾留請求と言ってさらにAさんの身体を拘束することを裁判所に請求します。そして裁判所がこれを認めると、Aさんは10日間身体を拘束され続けることになります。この勾留は、場合によってはさらに10日間を限度に延長されることがあります。
 つまり、Aさんは今後最大で23日間、自宅にも帰れず会社にも出社できない可能性があるわけですね。
 なお、逮捕から勾留まで、このような厳密な期間制限があるのは、身体の拘束が当然ながらAさんにとって重大な不利益を及ぼすものとなるからです。

(3)勾留されると、通常はそのまま警察署に留め置かれ捜査が継続します。そして、勾留の期限までに、検察官は、Aさんを起訴するか、略式起訴(罰金刑)とするか、不起訴とするか、という処分を決定します。起訴された場合は、保釈請求が認められない限り、身柄を拘束されたまま刑事裁判を待つことになります。
 他方、罰金刑や不起訴処分の場合は釈放され家に帰ることができます。

(4)このように、逮捕に引き続き勾留されると、処分が決まるまでの間は家にも帰れず仕事にも行けなくなりますので、少しでも早い段階から弁護士のアドバイスを受けることが重要です。弁護士会が無料で1回弁護士を派遣する当番弁護士という制度があり、逮捕された本人だけでなく家族や知人からも請求ができますので是非利用して下さい。
 次回は、弁護人の役割についてお話しします。

刑事手続