中部経済新聞2013年04月掲載
労働契約法の改正(下)

先月号に引き続いて労働契約法の改正についてお話ししますね。
うちのバイトみたいな「有期労働契約」について、改正されたということだったね。 
《労働契約法の改正》
はい。有期労働契約について大きく3つの点が改正されました。@無期労働契約への転換、A「雇止め法理」の法定化、B不合理な労働条件の禁止です。 順番に見ていきますね。
 《@無期労働契約への転換》
これは有期労働契約が5年を超えて反復更新された場合は、労働者の申込みにより、無期労働契約に転換させるというものです。
社長‥えっ!更新が続いて5年を超えている人、うちの会社も結構多いよ。申込みがあれば、全て無期労働契約になるの?
いえ。施行日前に既に開始している有期労働契約は5年のカウントには含まれません。
施行日?
成立した法令の効力が発生する日のことです。実は、Aについては既に施行されていますが、@Bについては、今年の4月1日が施行日なんです。
ということは、4月1日以降に更新したときに、そこから5年のカウントが開始されるということだね。
そうです。まずは、現在の有期労働契約の契約状況を把握し、転換の申込みがいつ発生するのか確認する必要があります。注意して頂きたいのは、例えば1年契約が更新された場合、転換の申込みは5回目の更新以降に発生しますが、3年契約の更新だと、1回目の更新で通算6年になりますので、1回目更新した時点で転換の申込みが発生します。
1年毎の更新より早く発生するんだね。 ところで5年というのは連続して5年ということ?例えば1年毎に更新だとして、3年勤めた人が出産とかで一旦辞めて、その後また復帰して2年経った場合、5年のカウントに通算するのかな?
原則として、6か月以上の空白期間があるときは、前の契約期間は通算せず、新たにカウントを開始します。
ややこしいね
厚生労働省のホームページに、労働契約法の改正について詳細がわかるリーフレットが掲載されていますが、迷った時は遠慮なく弁護士にご相談下さい。
そうするよ。 ところで無期労働契約に転換した場合、給与とかその他の労働条件はどうなの?
別に定めをしない限り、従前と同一の労働条件になります。 
《A「雇止め法理」の法定化》
これは、有期労働契約が繰り返し更新されて、実質的に無期労働契約と変わらない場合、または有期労働契約の期間満了後の雇用継続につき、労働者が契約は更新されるものと合理的期待をもつと認められる場合には、雇止めが客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められないときは、有期労働契約が更新(締結)されたとみなされるというものです。
期限をちゃんと決めていても、契約を終了できないの?
そうです。労働者が更新されるか否か分からない不安定な状態になることは避けなければなりません。 今後は更新を予定しない契約を締結するときは、更新しないことを予め明確にすべきでしょうね。
 《B不合理な労働条件の禁止》
これは、有期契約労働者の労働条件が、期間の定めがあることにより無期契約労働者の労働条件と相違する場合、その相違は、職務の内容や配置の変更の範囲等を考慮して、不合理と認められるものであってはならないものとしたものです。
有期労働契約者でも無期労働契約者でも、同じ内容の仕事であれば、同じ待遇にしなければならないということだね。 聞いた限りでは、今回の改正は、会社経営に深く関連するね。労務管理について一度見直すからよろしくね。