中部経済新聞2012年7月掲載
【ちょっとお得】
裁判員候補者に選ばれたら2〜法廷証拠だけを判断材料に〜

 【質問】 裁判員候補者に選ばれてしまいました。私に裁判員が務まるのでしょうか?

【回答】

前回に引き続き、日本弁護士連合会が、裁判員裁判において裁判員となられた方に向け、ご説明している「心にとめておきたい4つのこと」をお話しします。

今回は、二つ目の、「法廷に現れた証拠だけをもとに判断」ということを説明します。

裁判員候補者となった段階では、自分が担当する候補となった事件に関するニュースや新聞・雑誌あるいはインターネット記事などを、普段と同じように見ることは何ら差し支えありません。

しかし、裁判員に選任された後、具体的な事件を担当する段階では、注意が必要です。
刑事裁判では、ニュースなどで知ったことではなく、あくまで法廷に出された証拠だけに基づき判断しなければならないからです。

前回もお話ししたとおり、刑事裁判ではえん罪を防ぐため、多くの制度を設けています。
その一つに、証拠となる資格(証拠能力)というものがあります。

事件と無関係なものや、人から聞いた話など誤りが入りやすいものにより事実を認定すると、誤った判断がなされる可能性が高くなります。
また、違法な手続で収集されたものが証拠になるのは、正義に反します

そこで、刑事裁判では、有罪の事実を認定するためには、証拠能力を持つ証拠に基づかなければならない、としているのです。

裁判員となったあなたの頭の中には、ニュースなどで知ったいろいろな情報があるかもしれませんが、刑事裁判では予断や偏見を持たず、事実は、法廷に現れた証拠(証拠能力を有する証拠)だけで判断して下さい。