中部経済新聞2012年4月掲載
愛知県弁護士会 纐纈和義新会長に聞く
Question  弁護士の基本的姿勢は何ですか。
Answer  何よりも基本的人権の擁護と社会正義の実現を使命としている点です。この精神は国家権力に対峙するときのみならず、我々が日頃の職務を行う際にも活かされなければなりません。

Question  司法崩壊の危機を訴えているとお聞きしました。
Answer  そうです。法曹を目指す人が年々減少しています。法科大学院受験者は激減し、法学部を志望する高校生も減っています。法曹界において有為な人材が枯渇してしまうのではないか心配です。
 この状況が続けば、法曹の質が低下し、国民に十分な法的サービスが提供できず、前述の使命が達成できなくなるおそれがあります。

Question  どうして法曹を目指す人が減っているのですか。
Answer  一言で言えば、多くの若者が、法曹に魅力を感じなくなっているからではないかと思います。特に、弁護士の世界は、未曾有の就職難にあります。もちろん、経済的理由だけで、法曹の魅力が左右されるわけではありませんが、自らの生業として考えたときには重要な要素となります。費用と時間がかかる法科大学院を卒業し、試験に合格しても就職難では若い人が敬遠するのも理解できます。

Question  なぜ弁護士の就職難が起きているのでしょうか。
Answer  この5年間で弁護士数は1.5倍になりました。弁護士の業務量、業務範囲の伸びに比して、現在の弁護士数の伸びは過剰です。弁護士会による業務拡充の努力も追いつかない急速な伸びです。

Question  どうしたらいいですか。
Answer  対策の一つは、司法試験合格者数を減らすことです。それと共に弁護士をもっと活用してもらうよう工夫することです。

Question  具体的には、どんなことですか。
Answer  弁護士は深い法律知識と高い倫理観のもと、あらゆる分野において、紛争を予防し、また解決する技量を有しています。国民が不当な不利益を受けないために役に立つ存在であることを皆様に知って頂きたいと思います。
 そのために弁護士の取り扱っている業務の内容、弁護士の費用、弁護士に相談して依頼することのメリットを、読者の皆様も含め、積極的にお伝えしていきます。

Question  弁護士の敷居が高いと言われますが。
Answer  よく言われますね。
 一番のご心配は、費用についてだと思います。費用がいくら位かかるのか、弁護士会は様々に工夫しながら広報を行う必要があります。費用を分かりやすくして皆様の多様な法的ニーズに的確に応えなければなりません。

Question  弁護士会にはどのような法律相談窓口がありますか。
Answer  弁護士会は、個人から企業まで、あらゆる相談に対応できる法律相談センターを愛知県下11ケ所に設置しています(052-252-0044)。
 また、中小企業の皆様のために、ひまわりほっとダイヤルという無料相談の制度を設けています(0570-001-240)。
 これらの制度を広く知っていただき、皆様に大いに利用していただきお役に立ちたいと思います。