中部経済新聞2010年12月掲載 
【ちょっとお得】
債権を担保に取る方法について

 【質問】 2回に亘って担保について話を聞きましたが,最後に「債権」を担保にする方法について教えて下さい。

【回答】  「債権」を担保にするということは,前々回にお話した担保の分類では,物的担保とされます。債務者に不払い等が発生した場合,担保の目的物とした「債権」を換価して回収を図るというものです。
 
 取引先に融資等する際,担保に適する不動産がなかったり人的保証がとれない場合でも,手形や株券,銀行預金やゴルフ会員権などの債権があれば,それを担保に取ることができます。

  その方法としては,債権に質権を設定してもらう方法と,担保の目的で債権の譲渡を受ける(譲渡担保)方法があります。
両者とも,第三債務者(担保の目的とした債権の債務者)に対して,直接取り立てることができるという点で,実効性のある担保ではありますが,これを第三債務者に主張するためには,担保の方法,債権の種類によって,異なる要件を備える必要があります。

  また,債権は目に見えない観念的なものですので,担保にとった債権が,別の第三者にさらに譲渡されるといったこと(二重譲渡)も考えられます。この場合,その第三者に負けないためには,一定の要件を備えておく必要があります。

  さらに,譲渡禁止特約がついている債権には担保設定できないなどの問題もあります。
後々にトラブルが生じないようにするためにも,債権を担保にしようとする場合には,弁護士にご相談下さい。

  債権を担保にする方法は,最近注目されており,数年前には,売掛金等の債権などをまとめて担保に供する制度が改正され,第三債務者の特定していない将来の債権の譲渡についても可能になりました(動産債権譲渡特例法)。この制度については,追って,この紙面にて説明させて頂きます。