中部経済新聞2010年11月掲載 
【ちょっとお得】
債権を保全するための担保 (2)

 【質問】 先月は不動産などの「物的担保」についてお聞きしましたが、債権を保全するための「人的担保」とは、どのようなものですか

【回答】  人的担保とは、主債務者の債務について第三者に保証してもらう場合を言います。不動産などの物がないときでも、保証人と保証契約をしておけば、債務者(主債務者)が支払ってくれないような場合に、保証人に請求をすることができます。ただ、連帯の特約をした連帯保証人に対しては、債権者は、直ちに請求をすることができます。従って、保証人には、連帯保証をしてもらうことがお奨めです。なお、会社同士の契約などのような商事保証の場合には、こういった連帯の特約をしなくても、連帯保証となります(商法511条)。

   注意が必要な点として、保証契約は、書面でしなければ効力が生じないという点があります。そのため、金銭消費貸借契約書などに保証人の肩書きで署名押印してもらうとよいでしょう。

   保証人は、債務(主たる債務)だけでなく、その利息、違約金、損害賠償などについても支払う義務があります。このような重い責任を負うので、保証人の意思の確認のために書面が必要となります。

   取引により債務が変動するような場合で、その債務の範囲に金銭の貸渡しまたは手形の割引を受けることによって負担する債務が含まれるときは、例えば1000万円までといった上限(極度額)を決め、代表者等に保証人(根保証人)となってもらう方法があります(貸金等根保証契約)。

   この場合には、極度額を書面で決めておく必要があります。また元本確定期日を契約締結日から5年以内に定めておかないと、3年を経過する日に元本が確定することになります。これは、根保証人を保護するために定められたものです。

   このように、保証の場合には書面が重要になりますので、弁護士など専門家にご相談下さい。