中部経済新聞2010年4月掲載
齋藤勉新会長に聞く
Question 平成22年度会長としての基本的な考え方をお聞かせください。
Answer 弁護士の使命は基本的人権の尊重と社会正義の実現です。この使命を踏まえ、優良な法的サービスを市民に提供できるよう弁護士会としても諸施策を実施したいと思います。

Question 具体的には。
Answer 一つは法曹人口問題対策ですね。司法試験合格者の増加により、弁護士の過疎偏在が解消され、市民の司法アクセスの改善に繋がりました。しかし、他方で就職先が見つからない弁護士も生まれつつあります。後輩にもOJT(仕事を通して修練する)の場を確保したいと思います。

Question ただ、現状、就職希望者に対して求人が相当少ないようですが。
Answer その点も考慮して、司法試験合格者数を減らす必要があるのではないかと考えています。

Question 減らせば、巷間言われている法律家の質の確保は大丈夫でしょうか。
Answer 法律家の質の問題は法曹養成制度全体の問題だと思いますが、弁護士会としても、研修を増やしたり、先輩弁護士をアドバイザーにつけたりして、相談される市民の方々の不安が杞憂で終わるよう工夫を凝らしています。

Question 愛知県では昨年度末に弁護士の不祥事が続いたようですが。
Answer この点は非常に重要な問題であると認識しています。毎年実施している倫理研修をさらに充実させるなどして、市民の方々の信頼維持に努めたいと考えます。

Question ほかの施策は如何でしょうか。
Answer 本紙面にもあるとおり、この4月から中小企業向けのほっとダイヤルが開設されました。この充実を図りたいと考えます。

Question 愛知県弁護士会には「地域弁護士」という制度があると聞いていますが。
Answer 地域弁護士は商工会に加入しておられる会社には有意義な制度だと思います。これをさらに進めて、すべての中小企業の方々に気軽に弁護士を利用していただきたいと思っています。日弁連の調査でも、本当は法律問題なのに弁護士に相談しようと思わなかった中小企業者が相当数おられました。そこで、全国の中小企業者が気軽に相談できる窓口を設けたのが今回のほっとダイヤルです。是非積極的に利用していただきたいと思います。

Question 支部会館も検討中と聞きましたが。
Answer はい。現在、岡崎市の裁判所横に建設する支部会館を設計中です。気軽にご利用いただける建物となるよう工夫しています。また、一宮市の裁判所横にも支部会館を建設したいので、土地取得を目指して努力中です。

Question 最後に読者の方々に一言お願いします。
Answer 弁護士にとっては、利用される市民の信頼が最も重要です。個々の弁護士が法律のプロとしての誇りを持って市民に信頼される仕事をできるよう弁護士会としてバックアップします。ご支援を宜しくお願いします。