中部経済新聞2010年2月掲載 
【ちょっと!お得】
確定日付の証明利用を

 【質問】 あらかじめ契約書を作成しておいたのに、「この契約書は、トラブルが発生してから、さも事前に取り決めがあったかのように、日付を遡らせて作成されたものだ!」と言われて困っています。こんなことを言われないようにする方法はないのでしょうか。

【回答】  文書に作成日が記載されていても、実際の作成日は異なっているなどとして、文書の作成日をめぐる紛争が発生することは少なくありません。昨年11月に掲載された記事では、契約書の作成をお勧めしましたが、契約書を作成したからもう安心・・・となるとは限らないのです。
 こういった、文書の作成日をめぐる紛争を防止するために利用されるのが確定日付です。
確定日付とは、読んで字のごとく、変更ができない確定した日付のことで、その日にその文書が存在していたことを証明するものです。
 契約書などの私文書に確定日付を付与してもらう場合には、公証役場に請求をして、公証人に日付のある印章(確定日付印)を押捺してもらうことになります。手数料は、一件あたり七〇〇円です。
 確定日付は、きわめて信用性の高い証明方法ですから、契約書に、記載された作成日と同じ確定日付が付与されている場合には、裁判でも、質問にあるような言い分は認められず、契約書は、記載どおりの日付に作成されたものだと認められることになります。せっかく作った契約書です。念には念を入れて、確定日付の付与を受けることも検討されてはいかがでしょうか。
 確定日付の付与は、確定日付の押捺日に文書が存在していたことを公に証明する手段で、公証役場(公に証明するから、「公証」役場と言うのです。)が担う重要な役割の一つですが、公証役場には、ほかにもさまざまな役割があります。次回は、そのうち、公正証書の作成についてお話しします。