中部経済新聞2009年11月掲載 【ちょっと!お得】
定期借家契約の締結〜期間満了で確定的に契約終了

 【質問】 会社で使っていた建物が空き家になっています。このまま遊ばせておくよりも賃貸した方がいいと思うのですが,いったん建物を賃貸してしまうと契約を終了させることが難しいと聞き,二の足を踏んでいます。何か良い方法はないでしょうか。

【回答】 定期借家契約の締結をお勧めします。

前回お話ししたとおり,普通借家契約では,契約期間が満了しても,賃借人が契約の更新を希望する場合,「正当事由」がない限り,賃貸人が更新を拒絶し,契約を終了させることはできません。これに対して,定期借家契約では,契約期間が満了すれば,契約は更新されることなく確定的に終了します。ですから,会社が建物を使用しない期間を決めることができるなら、定期借家契約を利用することができます。

但し、定期借家契約を締結するためには,いくつかの要件を満たす必要があります。

具体的には,まず、賃貸人は,契約を締結する前に,賃借人(予定者)に対して,契約の更新はなく,期間の満了によって契約が終了することを、その旨を記載した事前説明書を交付して、説明しなくてはなりません。

その上で、公正証書等の契約書を作成して契約を締結する必要があります。この契約書には,契約は期間満了によって終了し,更新はないということを明記しておかなければいけません。

また、定期借家契約を締結するには,例えば「二年間」というように一定の契約期間を定める必要があります。 

更に、一年以上の期間を定めた定期借家契約については,期間満了の一年前から六か月前までの間に,賃借人に対し,期間満了によって契約が終了する旨を通知する必要があります。

このように,留意すべき点も多くありますので,定期借家契約を締結する際には,弁護士等にご相談ください。