中部経済新聞2009年9月掲載
生物多様性地域戦略を市民の立場で考える

 中部弁護士会連合会では2009年10月16日に「われらと生き物の未来―市民がつくる生物多様性地域戦略」をテーマにシンポジウムを開催します。

 人間の経済活動の展開のために、生物の多くの種が失われ、今後も減少が続くことが予想されています。私たちの生活が食糧、エネルギー、医薬など様々な生物資源に依存し、また生物多様性との関わりで多様な文化を生み出してきていることから、生物多様性の減少は人間の持続的な生存を脅かすものとして、国際的な課題となっています。

 では、私たちは市民の立場で、生物多様性についてどのように関わっていけるのでしょうか。重要なポイントを占めるのは、地方公共団体が策定する生物多様性地域戦略です。生物多様性は、それぞれの地域ごとに歴史的経過を経て形成されてきているものですから、生物多様性を保全するためには、各地域の特徴を正しくつかんで、地域の特性に合わせたきめ細かな対応を考えていくことが不可欠です。また、地方公共団体における地域戦略の策定、実施、検証などの段階に住民参加が貫かれれば、多くの住民が生物多様性の保全などを通じた地域づくりに参加していくことが期待できます。兵庫県豊岡市はコウノトリが舞う環境を取り戻すため、有機農法による農業を推進し、生産物が「コウノトリブランド」として定着し、観光面でも成果を収めています。生物多様性を政策の根幹にすえることで、住民の知恵を生かして地域再生に結びつけることができることを示した貴重な例です。

 このように、生物多様性地域戦略は生物多様性保全の面でも、地域づくりという面でも重要な意義を持っています。

 そこで、中部弁護士会連合会では、実効性のある地域戦略を作る上での課題を明らかにするためシンポジウムを開催します。前千葉県知事の堂本暁子さんによる記念講演のほか、堂本さんを交えたパネルディスカッションを予定していますので、是非ご参加下さい。

日時:10月16日(金)午前9時開場
    午前9時30分開演(午後12時30分までを予定)
場所:ウェスティンナゴヤキャッスル2階
先着500名・入場無料