「紛争解決センター」に名前が変わりました

色々な相談をお気軽に

【事件が起きた】

弁護士

 社長、今日は何の相談ですか。

社長

 実は、幼稚園児の長男が公園で友達と遊んでいて怪我をしたのです。前歯が折れて差し歯をすることになったのですが、治療費だけでも50万円ほどかかるようです。私は治療費だけじゃなくて慰謝料なども請求したいのですが。

弁護士

 怪我をしたときの状況はどんな様子だったのですか。

社長

 子ども同士がふざけあっていて、相手の子が長男を後ろから押し、長男が鉄棒に顔をぶつけてしまったようです。双方の親も公園にいたのですが、世間話に夢中で気づかなかったようです。

弁護士  近くに親がいて監督不十分と言える場合だから、治療費はもちろん慰謝料を請求することもできると思います。ただ、こちらの親も現場にいたから、こちら側の責任も否定できないでしょうね。
社長  そうなんです。相手の親も弁償すると言っているのですが、私の側にも責任が無いわけではないし、親同士もよく知っている仲なので、なかなか話がしにくいのです。過大な請求をしたと思われるのも嫌ですし。
弁護士

 確かに話し合いで解決することが望ましい事件ですね。では、弁護士会の紛争解決センターに申し立てたらどうですか。

社長

 何ですか、それは。

【紛争解決センターとは?】
弁護士  弁護士会が主宰している紛争解決機関です。紛争の一方が申立をし、相手方が手続きに応じれば、弁護士から選ばれたあっせん・仲裁人が双方の言い分をよく聞いて、話し合いでの解決を目指すというものです。これまでは「あっせん・仲裁センター」という名前だったのですが、今般「紛争解決センター」に改名しました。
社長

 調停と似てますね。

【調停との違い】
弁護士

 調停と異なるのは、あっせん・仲裁人として全て弁護士が入るという点と、仲裁判断を求めることもできるという点です。

社長

 仲裁判断って何ですか。

弁護士  当事者双方が仲裁人に判断を委ねることを合意すれば、仲裁人が第三者の立場で解決案を示し、双方がこれに従って紛争を終わらせる手続きです。
社長  今回の私の場合で言えば、あっせん・仲裁人の方に、損害賠償の金額を決めてもらうということですか。
弁護士  双方があっせん・仲裁人に任せることを合意すれば、それも可能です。当然ながら、あっせん・仲裁人は過去の裁判例などを勘案して金額を決めますので、今回の事件などは仲裁判断に適した事件かもしれませんね。
社長  それは、事件の大小に関係なく受け付けてもらえるのですか。
【どんな事件でも大丈夫?】
弁護士  金額・紛争の種類などは一切問いません。建築トラブルもあれば、医療過誤紛争も扱われています。
社長  建築紛争や医療過誤紛争は、専門的な知識が必要ですね。
弁護士  紛争解決センターでは、各分野に詳しい弁護士をあっせん・仲裁人に選任していますし、建築士や医師の方などが専門家あっせん・仲裁人や専門委員として入ることもできますので、専門性のある事件の方が適しているかもしれません。
社長  私の友人は今離婚話で奥さんと揉めていますが、そんな事件でもよいのですか。
弁護士  それも可能です。
社長  離婚の場合は、裁判所で調停をしないと裁判できないと聞きましたが、その点はどうなんでしょうか。
弁護士  問題ありません。今般弁護士会の紛争解決センターは、ADR法による法務大臣の認証を受けました。そのため、紛争解決センターでの話し合いが不調となれば、裁判所での調停が不調となった場合と同じく、引き続いて離婚の裁判を起こせるようになりました。また、この認証を受けたため、紛争解決センターに対する申し立てにより、消滅時効が中断するという効果も認められるようになったのです。
社長  消滅時効というと、長い間請求しないと債権を請求できなくなる制度でしたっけ。
弁護士  さすが元法学部。
【相手方が不出頭の場合は?】
社長  相手が出てこないとどうなりますか。
弁護士  相手方には出席する義務はありませんので、裁判を起こすしかありません。ただ、比較的多くの事件で相手方も出席しています。
【費用は?】
社長  費用はどの程度かかるのですか。
弁護士  申立費用は税込み1万0500円です。相手方が不出頭なら半額は戻ります。また、成立した段階で成立手数料が必要です。解決金額が100万円の場合で6万7200円を申立人と相手方で原則として折半します。解決金額が1,000万円なら26万8800円を原則として折半で負担することになります。
社長  調停の場合とどちらが安く済みますか。
弁護士  簡易裁判所の調停の場合は、成立時の費用は不要ですが、申立時の費用が申立ての内容により異なるため、一概にどちらが安いとは言えません。
 ただ、紛争解決センターの場合は、各当事者とあっせん・仲裁人が合意すれば、比較的時間の融通もききますし、建築紛争等で現地で話合うこともできるなど、機動性があるのは便利だと思います。