言わせてちょ

リーダーの資質とは何か




昨年末、韓国大統選でハンナラ党の李明博氏が圧勝した。前政権の経済政策への不満が経済界出身の李氏を後押ししたものと報道されている。

また、新年早々、米国の次期大統領選の指名候補を絞り込む民主党の党員集会が全米に先駆けてアイオワ州で行なわれた。その結果、黒人のオバマ上院議員がヒラリー・クリントン上院議員を破ったと伝えられた。支持率が低迷する共和党ブッシュ政権が来年1月に任期が切れるため、民主党の候補者が誰になるのか全世界から注目されている。日本においても、参議院選敗北の結果、昨年九月に安部政権から福田政権への交替が行なわれた。いずれの国も議会制民主主義の国である。国民主権のもと国民の代弁者として選挙で選ばれた議員で組織する議会がある。また、司法制度や行政を執行する官僚組織など体制維持のための組織も備わっている。

かような中で、行政を担当する大統領ないし首相に誰が選出されるか注目が集まるのは、その人の考えている政策、資質が国政に大きな影響力を持つからであり、その指導力を生かす余地を残した体制となっているからに他ならない。

正月のテレビの特番を見ていたら、イタリアの高校の教科書では、リーダーに求められる資質として「知性」「説得力」「肉体上の耐久力」「自己制御の能力」「持続する意志」があげられていると紹介していた。

さらに、現代のリーダーには、時代を的確に読み、政策に移す決断力が求められていることは誰しも異論はないであろう。

政策の継続的な実施はもちろん大切であるが、内外の情勢や世論を的確に把握し、ときには方針の転換を勇気を持って決断する能力は急激に変化する現代においてはより重要な資質といえよう。

最近、年金問題での失言、薬害C型肝炎訴訟の和解協議への対応についてのドタバタ劇、一二月にインドネシア・バリで開かれた気候変動枠組み条約締約国会議で温暖化問題についての日本の後ろ向きの対応が批判され、年末になって環境相のツバル訪問を指示し、今年一月下旬に、スイス・ダボスで開かれる世界経済フォーラム年次総会へ首相自ら出席し、洞爺湖サミットの基本方針を演説するという方針変換が伝えられている。

かような事態が続くのをみていると、平たくいえば現政権には、残念ながら昨年の流行語となった「K・Y」(空気が読めない)があてはまると言われても致し方あるまい。国民主権を前提とした民主主義国家となって半世紀以上も経過した現在、前述の資質を少しでも備えたリーダーの育成を社会全体で真剣に考えるべき時期に来ているのではないか。(NN)