法律事務所の内側をレポート


〜法律事務所の内側をレポート


 法律事務所というところは、一般の方には殆どなじみがないのではないだろうか。弁護士の世話になったことがあるという方でも、事務所の応接に入った経験があるだけで、実際に弁護士が執務している事務所の内部を見たことがある人は少ないであろう。
 そこで今回は、現在某法律事務所において研修中の法科大学院生の目から見た法律事務所の内側をレポートしてみたい。

 その法律事務所は、弁護士が八名、事務職員が九名という陣容である。全員が一つのフロアにデスクを構えているが、弁護士のデスクはそれぞれ一・三m程のパーテーションで囲まれており、集中して執務をすることができる構造となっている(逆に、事務員からは、のぞき込んで見ない限り弁護士が仕事をしているのか、昼寝をしているのかは分からないようになっている)。弁護士の朝は意外と早く(八時には来ている!)、夜も遅いため、昼寝も体力維持のための重要な業務なのかもしれない。

 事務所の内部は、先程のパーテーション以外には、普通の企業のオフィスとさほど変わるところはない。法律事務所といっても、特別なことはないようだ。ただ、事務所内の雰囲気は、一般企業と比較してやや自由度が高いように思う。服装は、男性ではネクタイをしている人はほとんどなく(夏だからということもあろうか)、女性も割とラフな格好をしている。また、壁には「ドラえもん」のカレンダーが掛けられており、このあたりにも自由な雰囲気を感じる。

 事務所内は「原則」禁煙ということになっている。ただ、飲酒は許されているらしい・・・。冷蔵庫には、缶ビールがたっぷり冷やされており冷蔵庫の外にも缶ビールが山積みになっている。日が暮れる頃になると、缶を開ける「プシュ!」という音がどこからともなく聞こえてきたりする。そういえば、昼食のときにも飲んでいたような気がするが、私の気のせいだろうか・・・。
 このように、法律事務所の内側は、硬い感じは全くなく、むしろ自由で柔らかい雰囲気を感じる。しかしこのことは、仕事がいい加減であるということを意味するものではない。弁護士同士で真剣に議論する姿や、事務員がパソコンに向かって熱心に作業する姿が日常的な風景でもある。おそらく、法律事務所は小規模な組織であり、お互いに目が届きやすいから、厳しい規律を設ける必要がなく、みんなが仕事のしやすい環境を合理的に形成しやすいのであろう。

 法律事務所というと一般の方には敷居が高いイメージがあるかと思われる。しかし、実際にはそんなことは全くなく、困ったことがあれば気軽に利用して頂きたい、と思う次第である。(利用する必要がないというのが一番なのかもしれないが・・・。)