新会社法、5月から試行 有限会社がなくなるの?

株式会社の定義幅広く 監査役不要に取締役は1人でOK

 会社法が新しくなって、有限会社がなくなるって聞いたのですが、本当ですか?

 今年5月から、新しく会社法が施行されることになっておりますが、この法律では、有限会社は設立できなくなります。

 そうしますと、私の「魚水有限会社」はどうなってしまうのですか?

 新会社法が施行されてからは、有限会社を設立することはできませんが、施行前に設立されている有限会社については、有限会社の商号をそのまま使用することはできます。ただ、逆に、施行後は、いつでも株式会社に社名を変更することができます。

 私の会社は、ご存じのとおり、役員としては取締役である私一人しかいないのですが、それでも株式会社になることができるのですか?

 新会社法では、従来、有限会社が予定していたような、規模の小さい会社にも対応できるようになっております。

 具体的には、どのような内容ですか。

 中小会社で考えれば、株式の譲渡に会社の承認(原則として、取締役会を設置しない会社では株主総会の承認、それ以外は取締役の承認)が必要な株式会社については、株主総会のほかには、取締役会を設ける必要もなく、取締役が1名いればよいことになりました。そして、監査役も不要となりました。

 そうしますと、今のまま、監査役も置かずに、私だけが取締役であっても、株式会社になれるのですか。

 そうですね。特に、取締役を増やしたり、監査役を選任しなくても、株式会社になることはできます。

 具体的には、どのような手続をとることになるのですか。

 まず、定款の変更が必要になります。具体的には、商号を今までの有限会社から株式会社に変更するための社員総会の特別決議が必要となります。そして、登記上は、有限会社について、解散登記をし、株式会社について設立登記をすることになります。

 ただ、株式会社になると、資本金とかも1000万円以上必要なんですよね。

 これも、新会社法で変更になっています。新会社法では、株式会社を設立しようとする場合には、資本金はいくらでもよいことになっておりますので、資本金1円でも、株式会社は設立することができます。そのため、従来ある有限会社を、新会社法施行後に株式会社に商号変更しても、資本金は特に増やす必要はありません。

 そうしますと、株式会社の方が信用力もありそうなので、株式会社に変更した方がいいですよね。

 必ずしも、そうとばかりはいえないと思いますよ。まず、今までは、資本金が1000万円以上であるとか、株式会社の場合には、一定の規模以上の会社を想定しておりましたが、新会社法では、従来の有限会社が予定していた中小規模の会社も株式会社に取り込んでおりますので、株式会社だから信用力が高いとはそもそもいえないと思います。

 ただ、イメージ的には株式会社の方がいいように思いますが・・・。

 ただ新会社法では、取締役の任期は原則2年です。さきほどお話をした譲渡制限会社では、その任期を10年まで延ばすことができますが、いずれにしても、任期が必要です。そのため、任期ごとに再任の登記の手続が必要となってきますが、有限会社のままですと、今までとおり、任期は定めなくてもいいです。
 その他にも、株式会社の場合、今まで義務づけられていてもあまり守られていなかった決算公告について、今後は徹底されると言われておりますが、有限会社の場合には、このような義務もそもそもありません。

 そうしますと、そのような点を踏まえて、株式会社にするかどうかを考えれば、いいんですよね。

 変更するのはいつでもできますが、変更してしまってから有限会社に戻ることはできませんので、よく考えてくださいね。