実質的な「1人1票」の実現を求める会長声明

1.2009年(平成21年)8月に行われた衆議院選挙の小選挙区選挙について、議員1人あたりの有権者数の格差が最大2.304倍(高知県第3区と千葉県第4区との格差)であった選挙区割りは、投票価値の平等を保障した憲法に反して無効であるとして、愛知県を含む全国で提起された選挙無効確認請求訴訟について、最高裁判所大法廷は、去る3月23日、判決を言い渡した。

2.今回の判決は、いわゆる「1人別枠方式」(衆議院小選挙区の区割りにあたり、人口比例部分とは別に各都道府県に議員定数1を配分する方式)について、@「1人別枠方式に係る部分は、遅くとも本件選挙時においては、その立法時の合理性が失われたにもかかわらず、投票価値の平等と相容れない作用を及ぼすものとして、それ自体、憲法の投票価値の平等の要求に反する状態に至っていた」とし、A「本件選挙区割りについては、本件選挙時において上記の状態にあった1人別枠方式を含む本件区割基準に基づいて定められたものである以上、これもまた、本件選挙時において、憲法の投票価値の平等の要求に反する状態に至っていた」と判断した。

3.今回の判決は、最高裁が小選挙区制における1票の格差について、違憲状態と判断した初めての判断であり、その格差を生ぜしめた原因である「1人別枠方式」について「是正のための合理的期間内に、できるだけ速やかに本件区割基準中の1人別枠方式を廃止し、区画審設置法3条1項の趣旨に沿って本件区割規定を改正するなど、投票価値の平等の要請にかなう立法措置を講ずる必要がある」と明確に示した点で、評価することができる。

4.選挙権は、民主主義の根幹を構成する重要な権利である。1票の実質的価値に不平等が生じた状態で選ばれた国会議員を「全国民の代表」と言うことはできないことからすれば、1人1票の実現は、民主主義国家の基盤に関わる極めて重要な問題である。

5.当会は、かかる投票価値の平等、1人1票の保障の重要性に鑑み、国会に対し、直ちに1人別枠方式の廃止を求めるとともに、次回の衆議院選挙までに選挙区割りの見直しを行い、選挙区別議員1人当たりの人口数を1対1にできるだけ近付けることにより、実質的な「1人1票」の実現を行うよう強く求めるものである。

2011年(平成23年)3月29日

会長  齋 藤   勉