これにより、昨年9月に森英介法務大臣が就任して以来3度目、本年では1月29日の執行に続き2度目の執行が行われたことになる。
世界では、死刑は生命権を侵害する重大な人権問題であるという共通認識のもと、死刑制度の廃止が潮流となっており、死刑制度を存置する国においても、その執行を停止し、あるいは適用を制限する動きが顕著である。昨年12月には、国連総会本会議において死刑執行の停止を求める決議が圧倒的多数の賛成で採択されている。それにもかかわらず、日本では、死刑判決及びその執行数が著しく増加しており、こうした状況に対して、国際社会から、極めて深刻な懸念が示されている。とりわけ、昨年10月には、国際人権(自由権)規約委員会により、世論を理由に避けるのではなく死刑廃止を前向きに検討すること、執行日時を事前に告知すること、必要的上訴制度を導入し、再審請求などによる執行停止効を確実にすることなど、我が国の死刑制度を抜本的に見直すことを求める多くの勧告がなされるに至った。今回執行された3名のうち2名は自ら控訴を取り下げており、上記勧告との関係でも重大な疑義が生じる。
我が国では4つの死刑確定事件(免田・財田川・松山・島田各事件)について再審無罪判決が確定している。また、本年6月には、足利事件において、無期懲役刑が確定した受刑者に対する再審開始決定がなされているが、同様に精度の低いDNA鑑定に基づいて死刑判決が言い渡され昨年10月28日に執行がなされた飯塚事件に注目が集まっている。死刑判決にも誤判があることが明らかになっていながら、誤判を生じるに至った制度上、運用上の問題について抜本的解決は図られておらず、誤った死刑判決に基づく執行の危険性は依然として残されたままである。
裁判員制度が始まり、一市民も死刑という究極の量刑選択の困難に直面せざるを得なくなった。死刑をめぐってかつてないほど議論が活発になされつつある。今こそ、上記勧告を真摯に受け止め、死刑制度が抱える問題点を様々な角度から洗い出し、改革の方向性を探るべき機会である。
当会は、改めて政府に対し、死刑制度の存廃を含む抜本的な検討及び見直しを行うまでの一定期間、死刑の執行を停止するよう、重ねて強く要請するものである。
2009(平成21)年7月28日
愛知県弁護士会 会長 細井土夫
