弁護士法1条は、「弁護士は、基本的人権を擁護し、社会正義を実現することを使命とする」と規定しており、私ども愛知県弁護士会は、その使命の実現に向けて努力してまいりました。しかし、新しい問題が次々に発生しており、これらに的確に対応していく必要があります。
この10年間の司法の諸改革によって、司法界全体が大きく変わりました。今回の「司法改革」は、明治維新と戦後改革に次ぐ第3の大改革と言われています。
法曹(裁判官・検察官・弁護士)を養成するために法科大学院(ロースクール)が設立され、最近では、毎年2000人を優に超える人数(閣議決定では毎年3000人になる予定)が司法試験に合格し、大量の弁護士が誕生するようになりました。愛知県でも、毎年100名以上の新しい弁護士が登録しています。刑事事件における「裁判員裁判」は、刑事司法の在り方を根本から変える可能性のあるものですし、日本司法支援センターが設置され、国の事業として法律扶助が運営されることになりました。さらに、近時の法律においては、法律家が活動する分野が大幅に拡大しております。
他方、上記の諸制度を円滑に運営し、より良い司法を実現するためには、裁判官や検察官の増員が不可欠で、それを支える人的・物的設備も必要ですが、総合的な整備計画が立案されてはおりません。また、司法の諸制度を、国民のため円滑に運営してゆくには、相当の予算措置が必要ですが、現状は極めて不十分です。
そうであっても、今回の司法改革によって多くの新しい制度が作られましたが、その成否は、今後の運営の如何にかかっています。これを担ってゆく我々法曹の使命は、誠に重大なものがあります。
この「あいちの司法 地域司法計画2009」は、私ども愛知県弁護士会が、今後5年から10年くらいの時間軸でその実現をはかってゆきたいと考えているものです。この計画の中には、弁護士会だけで実現できるものもありますが、国による予算措置が取られなければ実現しないものも多くあります。しかし、私ども愛知県弁護士会は、その実現に向けて最大限の努力をしてゆく所存です。
私どもは、この計画を実現することにより、司法の立場から、県民市民が安心して暮らせる愛知県を目指したいと考えております。
もとより、この計画は完全なものではありませんが、皆様のご意見をお聞きして、更に改良を加えてゆきたいと考えております。ご支援のほどお願い申し上げます。
2009年3月
(「あいちの司法 地域司法計画2009」「はしがき」より)
あいちの司法 地域司法計画2009(PDFファイル・約22MB)
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目 次
はじめに
地域司法計画とは
T 各分野の司法の状況
1 多重債務者の救済 ……………………………………………… 2
2 消費者被害の救済 ……………………………………………… 4
3 交通事故 ………………………………………………………… 8
4 医事紛争 ………………………………………………………… 10
5 高齢者・障がい者への対応 …………………………………… 12
6 精神保健相談・医療観察法付添人活動 ……………………… 14
7 生活保護・ホームレスへの対応 ……………………………… 16
8 労働問題 ………………………………………………………… 18
9 家庭の問題 ……………………………………………………… 20
10 DV(ドメスティックバイオレンス)………………………… 22
11 子どもの権利 …………………………………………………… 24
12 犯罪被害者の支援 ……………………………………………… 25
13 民事介入暴力(民暴)…………………………………………… 28
14 外国人の人権 …………………………………………………… 30
15 知的財産に関する紛争 ………………………………………… 32
16 環境問題 ………………………………………………………… 34
17 行政問題 ………………………………………………………… 36
18 税務紛争 ………………………………………………………… 38
U 弁護士へのアクセスの改善
1 弁護士の状況 …………………………………………………… 42
2 法律相談ポイントの増設と充実 ……………………………… 44
3 弁護士情報の提供 ……………………………………………… 47
4 法テラスとの連携 ……………………………………………… 49
V 弁護士の対応能力の強化
1 弁護士偏在の克服 ……………………………………………… 54
2 刑事弁護活動の充実 …………………………………………… 59
3 新たな活動領域の拡大 ………………………………………… 65
4 専門性の強化と研修 …………………………………………… 69
5 法律事務所のあり方 …………………………………………… 70
W 司法的解決システムの改革
1 利用しやすい裁判所の実現 …………………………………… 74
2 キャリア裁判官制度の改革 …………………………………… 78
3 開かれた裁判所運営 …………………………………………… 81
4 ADR(弁護士会紛争解決センター)………………………… 82
X 司法の人的基盤の充実
1 法教育 …………………………………………………………… 86
2 法曹養成 ………………………………………………………… 88
資料編 ……………………………………………………………………… 91
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