死刑執行に関する会長声明

1 本日、名古屋拘置所において2名、東京拘置所において1名及び福岡拘置所において1名、計4名の死刑確定者に対して死刑が執行された。

2 当会では、死刑制度の存廃を含む抜本的な検討及び見直しを行うまでの一定期間、死刑の執行を停止するよう、これまでも再三にわたって法務省に対し要請してきた。しかるに、昨年は2月3名、4月4名、6月3名、9月3名、10月2名合計15名が執行されており、さらに今回の執行も前回の執行から僅か3ヶ月という短期間で執行されたのであって、当会は、かような事態に対し、深い憂慮の念を示すとともに、強く抗議するものである。

3 これまでの会長声明でも述べたとおり、死刑については、1989年の国連総会で死刑廃止条約が採択され(1991年発効)、1997年4月以降毎年、国連人権委員会(2006年国連人権理事会に改組)は「死刑廃止に関する決議」を行っている。
 また、我が国は1999年に拷問等禁止条約に加入しているところ、これに基づいて2007年5月に行われた拷問禁止委員会による日本政府報告書に対する最終見解・勧告においても、さらに、本年5月の国連人権理事会第2回普遍的定期的審査においても、我が国における死刑の執行の継続に対する懸念が多数の国から表明され、政府に対し死刑執行の停止が勧告された。
 特に、昨年10月には、国際人権(自由権)規約委員会により、世論を理由に避けるのではなく死刑廃止を前向きに検討すること、必要的上訴制度を導入し、再審請求等による執行停止効を確実にすること等、我が国の死刑制度を抜本的に見直すことを求める多くの勧告がなされ、昨年12月には、前年に引き続き、国連総会本会議において、死刑執行の停止を求める決議が圧倒的多数で採択された。
 このように国際社会でかってない注目を集める中で、短期間に死刑執行が繰り返されることにも重大な問題がある。

4 我が国では、4つの死刑確定事件(免田・財田川・松山・島田各事件)について再審無罪判決が確定し、死刑判決にも誤判が存在したことが明らかとなっているが、このような誤判を生じるに至った制度上及び運用上の問題点について、抜本的な改善は図られておらず、誤った死刑判決に基づく執行の危険性は依然として残されたままである。また死刑と無期刑との量刑について、裁判所間で判断が別れる事例も相次いでおり、明確な判断基準が存在しているとは言い難い状況である。

5 裁判員制度の実施を控え、国民の死刑制度とその運用に対する関心が高まっている今こそ、死刑制度が抱える問題点を広く社会が共有し、改革の方向性を探るべき機会である。
 よって、当会は、政府に対し、死刑制度の存廃を含む抜本的な検討及び見直しを行うまでの一定期間、死刑の執行を停止するよう、重ねて強く要請するものである。

2009(平成21)年1月29日

愛知県弁護士会 会長 入谷正章







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