死刑執行に関する会長声明

1 本日、福岡拘置所において1名及び仙台拘置所において1名、計2名の死刑確定者に対して死刑が執行された。いずれも確定後約2年という極めて短期間で執行された。

2 当会では、死刑制度の存廃を含む抜本的な検討及び見直しを行うまでの一定期間、死刑の執行を停止するよう、これまでも再三にわたって法務省に対し要請してきた。しかるに、本年に入ってから5回目の死刑執行であり、執行された死刑確定者の数は、本年だけで15名にのぼり、過去30年間で最多の数である。しかも、今回は現法務大臣就任後1ヶ月という短期間での執行であり、当会は、かような事態に対し、深い憂慮の念を示すとともに、強く抗議するものである。

3 先の会長声明でも述べたとおり、死刑については、1989年の国連総会で死刑廃止条約が採択され(1991年発効)、1997年4月以降毎年、国連人権委員会(2006年国連人権理事会に改組)は「死刑廃止に関する決議」を行っている。さらに、2007年12月には、国連総会本会議において、死刑執行の停止を求める決議が圧倒的多数で採択された。
 また、我が国は1999年に拷問等禁止条約に加入しているところ、これに基づいて2007年5月に行われた拷問禁止委員会による日本政府報告書に対する最終見解・勧告においても、さらに、本年5月の国連人権理事会第2回普遍的定期的審査においても、我が国における死刑の執行の継続に対する懸念が多数の国から表明され、政府に対し死刑執行の停止が勧告された。
 そして、本年10月15日、16日の両日には、国際人権(自由権)規約委員会により、我が国の人権状況に関する第5回の審査が行われた。審査では、特に、死刑判決に対する上訴が義務的とされていない現状に対する深刻な懸念が示された。本日死刑を執行された2名のうちの1名も、控訴審において第一審の無期懲役を破棄して死刑が宣告され、その後上告の取下げにより死刑が確定している。また、死刑制度とその運用について、日本政府が国内世論の支持を理由として挙げたことに対して、委員からは、死刑制度は人権問題であり、世論で決定すべき事柄ではないとの批判が相次いだ。

4 我が国では、4つの死刑確定事件(免田・財田川・松山・島田各事件)について再審無罪判決が確定し、死刑判決にも誤判が存在したことが明らかとなっているが、このような誤判を生じるに至った制度上及び運用上の問題点について、抜本的な改善は図られておらず、誤った死刑判決に基づく執行の危険性は依然として残されたままである。また死刑と無期刑との量刑について、裁判所間で判断が別れる事例も相次いでおり、明確な判断基準が存在しているとは言い難い状況である。
 このような状況で、直ちに死刑が執行されることにも重大な問題がある。

5 当会は、改めて政府に対し、死刑制度の存廃を含む抜本的な検討及び見直しを行うまでの一定期間、死刑の執行を停止するよう、重ねて強く要請するものである。

2008(平成20)年10月28日

愛知県弁護士会 会長 入谷正章







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